AIの日本語が翻訳調になるとき。受動態と無生物主語の直し方
AI表現・文章推敲コラム
読めるのに、なぜか頭に入ってこない。
AIの書いた日本語には、そういう読みにくさが出ることがあります。
誤りがあるわけではありません。日本語として不自然というより、翻訳された文章に似ています。
受動態が多い
「〜される」で書かれた文が続くと、誰が何をしたのかが後ろに回ります。
このツールによって作業時間が短縮されることが期待されます
短くすると、こうなります。
このツールを使うと作業時間が減ります
日本語は主語を省ける言語なので、能動態にしても文が長くなりません。
受動態が続いていたら、動作をする側を主語に戻せないか見てみます。
無生物主語
物事を主語にした文も、翻訳調として出ます。
この機能は、ユーザーに効率的な作業を可能にします
主語を人に戻すとこうなります。
この機能を使えば、効率よく作業できます
日本語では、人がどうするかで書いたほうが自然に読めます。
「〜は、〜を可能にする」「〜が、〜をもたらす」という形を見つけたら、書き換えの候補です。
代名詞が多い
「それ」「これ」「その」が多いのも特徴です。
英語では代名詞で受けるのが自然ですが、日本語では省くか、名詞を繰り返すほうが読みやすくなります。
指すものが2つ以上前の文にあると、読み手は戻って確認することになります。
「〜することができます」
可能表現も伸びやすいところです。
「確認することができます」は「確認できます」で足ります。
1箇所なら気になりませんが、1段落に3回出ると読む速度が落ちます。
名詞が続く
「〜の〜の〜」と名詞をつなぐ形も、読みにくさを作ります。
ユーザーの利便性の向上のための機能の追加
助詞の「の」が4回続いています。
動詞に開くと読めるようになります。
使いやすくするための機能を足す
名詞で固めると短くはなりますが、読む側は関係を組み立て直すことになります。
1文に「の」が3つ以上並んでいたら、書き換えの合図です。
硬い言い回しを、短い言い回しに
翻訳調の文章には、1語で済むところを長い言い回しで書く癖も出ます。
- 「〜において」は「〜で」
- 「〜に関して」は「〜について」
- 「〜を行う」は「〜する」
- 「〜という点において」は、たいてい削れる
1つ1つは小さな違いですが、文章全体で積み重なると、読む速さがはっきり変わります。
直す順番
上から順にやると手戻りが少なくなります。
受動態を能動態に戻す。ここで主語が決まります。
次に無生物主語を人に置き換える。ここで文の骨格が固まります。
最後に代名詞と可能表現を整理する。細部なので、骨格が決まってからのほうが早いです。
受動態が自然な場面もある
受動態をすべて能動態に直す必要はありません。
動作をした人が分からないときや、誰がしたかが重要でないときは、受動態のほうが自然です。
「会議は毎週月曜に開かれます」を、無理に誰かを主語にして書き直すと、かえって不自然になります。
直す目安は、受動態が続いて、誰が何をしたのかが読み取りにくくなっているかどうかです。
ツールで候補を拾う
Ningenize の辞書には、「翻訳調・不自然な表現」のカテゴリがあります。
上に挙げたような言い回しは、ハイライトで候補として示されるので、直すかどうかを1つずつ判断できます。
なぜこうなるのか
理由は断定できません。
学習した文章に翻訳文が多く含まれているためではないか、という説明を見かけますが、確かめる手立てが手元にないので、ここでは癖として扱います。
原因が分からなくても、出方は決まっています。
受動態、無生物主語、代名詞、可能表現。この4つを見るだけで、読みにくさの大半は取れます。